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農業と動物福祉の研究会

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国際獣疫事務局
(Organisation International des Epizooties: OIE)
動物福祉

CIWFブリーフィング資料

OIEはパリに本部をもち、164カ国が加盟する。ウエブサイトは www.oie.int である。

OIEは the World Animal Health Organisationとも呼ばれ、75年にわたって動物伝染病の蔓延防止に取り組んでいる。たとえば英国で2001年に口蹄疫が流行したとき、防疫をいつ再開させるかの決定はOIE規則に基づいてなされている。

世界貿易機関(WTO)の自由貿易規則はここ数年、改善された動物福祉基準を守ろうとする取組みを著しく損なっている。この問題に対処するために提案されたことの一つが動物福祉の国際基準を設けるべきだというものであった。動物の健康と動物福祉は密接に結びついていることから、OIEが動物福祉の国際的な主導機関として浮かび上がった。

OIEの動物福祉委任業務

2002年5月のOIE総会において、加盟国は動物福祉について以下の委任を確認した(以下、CIWFによる要約):

*動物福祉は重要な科学的、倫理的、経済的、政治的次元をもつ複雑で多面的な公共政策課題であるため、OIEは、これらの次元を包含し、バランスをとりながら検討するための詳細な見通しと戦略をもつものとする。

*動物福祉問題へのOIEの関与は次の分野に分けられる:

 a) 農業および養殖漁業における生産、繁殖、使役に使用される動物。

 b) エキゾチック(野生由来かつ「非伝統的」)アニマルを含めた伴侶動物。

 c) 研究、試験、教育目的で使用される動物。

 d) サーカス、動物園を含めたスポーツ、レクリエーション、娯楽に使用される動物。

*OIEはこれら各グループの動物の健康への基本的配慮に加え、収容、管理、輸送、殺処分などの問題も取扱うものとする。

*OIEは農業および養殖漁業に使用される動物を優先的に扱う。この分野についてOIEはまず輸送、人道的屠殺、防疫目的の殺処分を、ついで収容と管理の問題を取り上げる。OIEはまた、遺伝子組替えとクローニング、生産およびファッションのための遺伝子選択、および獣医療の各分野で生じる問題の動物福祉面の検討も行う。

*OIEは産業界およびNGOを含めた動物福祉の主な利害関係者と連絡をとり合うものとする。

・OIEは動物福祉への配慮をその主な機能に組込み、以下の役割を果たすものとする:

 a) 動物福祉の望ましい実践につながる基準や指針の策定。

 b) 専門的な助言の提供。

 c) 各国の法令や政策、国際的に認められた動物福祉専門家、望ましい動物福祉の実践例に関する情報データベースの管理。

 d) 法令や法的ツールなど動物福祉の有効な国家的インフラの基本要素の特定。

 e) OIE利害関係者内部の意識を高める教育資料の準備と配付。

 f) 獣医学の学部と大学院のカリキュラムに動物福祉を含めることを推進。

 g) 動物福祉の研究ニーズの特定と研究センター相互の協力の奨励。

OIEの作業経過

OIEの恒久的動物福祉部会が設置された。これに加え次の課題別の特別専門家部会も設置されている:

*陸路輸送

*海路輸送

*屠殺

*防疫目的の殺処分

OIEはこれら4分野の基準ないし指針案を2005年までに検討する計画である。

OIEはすぐれて科学的な機関である。加盟国は通常、政府の主任獣医官(ChiefVeterinary Officer: CVO)を代表として派遣する。このようなことから、OIEの決議(上述)では動物福祉には倫理、経済、政治的に重要な次元があることが強調されている。OIEが動物福祉基準を作成するにあたっては、科学とともに倫理的な面も十分考慮しなければならないというのがCIWFの堅い信念である。

OIE会議

2004年2月23−25日、パリにおいてOIE主催の世界動物福祉会議(Global Conference
on Animal Welfare)が開催される。会議の目的は、OIEの動物福祉に関する活動の利
害関係者が集まり、どうすれば最も効果的な貢献が果たせるか評価を行うことである。

国際農用動物福祉連合(ICFAW)

動物福祉欧州連合(Eurogroup for Animal Welfare)は世界各国の動物福祉団体で構成されるICFAWを設立し、CIWFもこれに参加している。ICFAWはOIEが意見を聴取する主な動物福祉NGOの一つとして非公式に認められている。

CIWFの主要目標

感覚をもつ存在(sentient being)

CIWFは、OIEが、動物が感覚をもつ存在であることを認める決議を採択することを望む。法的拘束力をもつEUの「動物の保護及び福祉に関する議定書」はすでに動物を感覚をもつ存在として認めている。

5つの自由

CIWFは、動物福祉に配慮する際の有意義な枠組みとして従来から受け入れられている「5つの自由」の原則をOIEが採択することを求める。その内容は次の通りである:

1. 飢えと渇きからの自由。

2. 不快からの自由。

3. 痛み、傷害および疾病からの自由。

4. 恐怖と苦悶からの自由。

5. 正常な行動を発現する自由。

我々は、輸送と屠殺に関する基準ないし指針の策定にあたり、OIEが以下のことを考慮するよう望む:

輸送

陸路、海路、いずれの場合も、長距離輸送は短距離輸送よりも動物福祉に悪影響をおよぼす。我々は、動物は育成された牧場にできる限り近い場所で屠殺するという原則をOIEが採用することを望む。家畜をさらに肥育するための長距離輸送も不必要なものであり、肥育は家畜が生産された農場またはその近くにおいて行われるべきものと我々は考える。よって、長距離輸送に固有の苦痛を防止するための最長輸送限度を定めるべきである。CIWFは、最長輸送限度は8時間とするのが望ましいと考える。

・食肉ではなく動物生体の輸送、輸出、輸入を奨励する補助金や金融制度は許可するべきではない。

・傷病動物の輸送は避けるべきである。

・積込み、積み降し時に動物を殴打したり蹴ったりするべきではない。加えて、機械的手段により動物を吊り上げたり、頭、角、耳、尾または毛皮をつかんで持ち上げたり引きずったりもするべきではない。電気棒の使用は避けるべきである。

・積込み、積み降し時の動物の傷害や苦痛を防止するため適切な踏み板を用いるべきである。

・過度の熱暑、寒冷により動物が苦痛を受けないような措置を講じるべきである。

・過密にならないよう十分なスペースを与えるべきである。

・長距離輸送中は給餌、給水を行い、休息を与えるべきである。

海路輸送

上記の諸点は陸路、海路、いずれの輸送にも適用される。海路輸送時にはこれに加えて以下の要素も不可欠である:

・ 囲いには有効な排水システムを備え、糞尿が堆積しないよう定期的に清掃しなければならない・

・ 高温・高湿度にならないよう十分に通気がなされなければならない。

・ アンモニア濃度の上昇を防ぐため十分に清掃と通気がなされなければならない。

・ 甲板下に家畜の囲いを2層以上設けると、下層の通気と空気循環を十分確保することが甚だしく困難なことがわかっていることから、甲板下には囲いを2層以上設けるべきではない。

・ 飼槽や水槽の糞尿汚染を防がなければならない。

・ 目的地に到着したら遅滞なく動物の積み降しを行わなければならない。

屠殺

・ 動物(家禽を含む)の屠殺は痛みと苦悶をできる限り避けられる方法で行われなければならない。よって屠殺前に適切な失神装置によって意識を喪失させておくべきである。

・ 失神処置をする場合、意識喪失がただちに起こりその状態のまま死に至るようにしなければならない。失神処置は頭部の正しい位置に対して施し、失神処置から放血までの時間はできる限り短くしなければならない。

・ 屠畜場において動物を殴打したり乱暴に取扱うべきではない。電気棒の使用は避けるべきである。

・ 哺乳類は意識喪失または死亡が起こる前に逆さにして脚で吊るすべきではない。

・ 訓練が行き届いた、能力と思いやりのある職員を使用すべきである。


コンパッション・イン・ワールド・ファーミング
政策法律部長 ピーター・スティーヴンソン