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農業と動物福祉の研究会(JFAWI)

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日本獣医畜産大学
食料自然管理経済学教室

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<2002年 シンポジウム>

日本とEUイギリスの有機畜産とアニマルウェルフェア

環境と動物にやさしい畜産をめざして


開催の趣旨

 今、食の安全性や食品の表示、流通、生産についての不安や疑念がたいへん高まっています。

 昨年のBSE(狂牛病)の発生以降も、大手企業による偽装食品、無許可農薬汚染、遺伝子組み替え食品の混入などの事件が次々と起こり、もはや何を信じていいのかわからない状態です。このような出来事の背後には、私たちが食に関わる生産の現場から切り離され、人の食べ物となる動植物が、どこで、どのような飼育栽培されているのか、ブラックボックスのように目に見えない存在になっていることがあります。

 近代畜産においては、ひたすら経済効率至上主義の課題を押しつけた結果、畜産動物たちは、不自然な人工的餌を与えられ、身動きもできないような狭い場所で飼育され、その結果として病気におかされるようになります。このような手法を開発してきたヨーロッパでは、その弊害もまた早くから認識されるようになり、近年、EUの畜産動物の飼育基準は大きく変わってきました。

 今回のシンポジウムでは、イギリスで動物福祉に先進的に取り組んでいる有機畜産農場の実践者・経営者であるチャールズ・マクリーン氏、およびEUにおける動物福祉の方針と戦略を進める世界動物保護協会(WSPA)畜産動物福祉部門のフィリップ・リンベリー氏をお招きし語っていただきます。日本においては、家畜行動学の観点から動物福祉研究に長年取り組んでおられる佐藤衆介氏が、日本の畜産における家畜福祉の現状と今後の課題を講演します。

 私たちがよりよい食生活をし、よりよい環境を望むならば、家畜福祉の問題を避けて通ることはできません。ぜひ、この機会に、以下の集会にご参加下さるようお願いいたします。

■日時:11月30日(土)午後1時〜5時

■場所:東京大学農学部1号館2階8番講義室  

■主催:ファームアニマルウェルフェア・イニシアティブ

■資料代:500円

●座長:松木洋一(日本獣医畜産大学)

●基調講演

 「ヨーロッパにおける畜産動物のアニマルウェルフェアの現状と対策」

    Philip Lymbery(WSPA) 

 「SheepDrove Organic Farmの有機畜産とアニマルウェルフェア」

    Charles D. MacLean(Sheep Drove Organic Farm)

 「日本の畜産研究とファームアニマルウェルフェア」 佐藤衆介(畜産草地研究所)    

●コメンテーター報告:

 「日本とEUの有機畜産の比較」 永松美希(日本獣医畜産大学)

 「放牧酪農とファームアニマルウェルフェア」中洞 正 (中洞牧場)

 「全農安心システムと畜産動物の健康」 原 耕造(全農)

 「市民から見た現代畜産における動物福祉の問題」 野上ふさ子(地球生物会議ALIVE)      

●パネルディスカッション

■協賛団体:

地球生物会議(ALIVE)、日本獣医畜産大学、大地を守る会、フードディスカヴァリー、JA全農、農業食品監査システム、馬の保護管理研究会、中洞牧場、磯沼ミルクファーム、秋川牧園、ALIVE関西、ミス・アプリコット、生きものSOS、名古屋生活クラブ、らでぃっしゅぼーや、関西四つ葉連絡会(ひこばえ)、ポラン広場、ニチレイ、イシイフーズ、タカナシ乳業 


シンポジウム開催の趣旨

2002年.11月11日

『動物と環境にやさしい畜産をめざして』

〜日本とEUイギリスの有機畜産とファームアニマルウェルフェア〜

「食の安全性」の問題

 BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)の発生を契機に、食肉の安全性に対する危機感がつのってきました。食肉メーカーや流通業者の牛肉在庫保管・処分事業に係る偽装事件や食肉の表示違反事件はそれに拍車をかけて消費者の不安を大きくしています。BSEは1986年にイギリスで確認されて以来、ほぼヨーロッパ全域に拡大し、さらに世界に拡大しつつあります。BSE以外にも口蹄疫や豚コレラ、鶏のサルモネラ菌汚染、家禽ペストなど畜産動物の病気が次々に発生しています。記憶に新しいO-157も含め、畜産物が私たち消費者の食生活を脅かしています。

 畜産動物の様々な問題は、私たち人間が畜産動物の健康と福祉を無視した飼い方をしてきたからに他なりません。

動物福祉の動き

 こうした畜産動物の本来の生態的および生理的な行動要求に合わない飼い方を反省し、畜産動物を単なる農産物ではなく「感受性のある生命存在」として認識し、飼い方を改善しようとするファームアニマルウェルフェアの動きがヨーロッパを中心に進展してきました。とくにそれがBSEの発生を契機に、世界的に大きな流れとなっています。地球規模での環境問題に対する関心の高まりもこうした動きを活発化させています。

有機畜産動物

 また1980年代後半になると先進国を中心に安全な食べ物を望む消費者が増加し、従来では特定の消費者しか手に入れることのできなかった農薬や化学肥料を使わない有機農産物が世界レベルで市場流通するようになりました。世界的な「有機マーケット」の誕生です。この世界「有機マーケット」で円滑に有機農産物を流通させるため、1990年からFAO/WHO合同のコーデックス委員会で有機農産物ガイドラインを策定する運びとなったのです。

 まず、1999年に野菜や果物などの植物産品のガイドラインが決まりました。コーデックス委員会は加盟国に対して強制力を持つため、日本でもこの動きに合わせるようにJAS法が改正され、2001年4月より有機農産物の強制表示がスタートしました。

国際基準

 コーデックス委員会では、畜産物についても議論されていましたが、畜産動物は生き物であるため、また、各国の飼い方などが異なるため、統一ガイドラインを策定するのは植物産品に比較するとそれほど簡単なことではありませんでした。議論を重ねた結果、農薬や化学肥料を使わない有機飼料を使うことや、環境に優しい放牧を主体とすること、動物の健康と福祉を考えるアニマルウェルフェアの遵守、畜産排泄物の適正管理などを盛り込んだガイドラインが2001年7月に誕生しました。

この有機畜産ガイドラインが消費者にとって安全な畜産物の確保につながり、畜産動物にとっても健康で一生を過ごすことのできる飼い方の目安となることは間違いありません。

 このガイドラインに先立ち、EUでは1999年に有機畜産規則を定めています。また、EU各国は有機農業や有機畜産を環境保全農業として、生産者に対して手厚い保護政策を与えています。

日本の立ち後れ

 ヨーロッパではこうした有機畜産の議論が1990年初頭から積み重ねられてきたにもかかわらず、日本では一部の生産者や消費者を除いて「有機畜産」という言葉はなじみが薄くほとんど議論されてきませんでした。 

 そこで、私たちはこうした世界レベルでのコーデックス有機畜産ガイドライン策定やEU有機畜産規則の制定に至った有機農業の歴史と有機畜産マーケットの現状を広く一般に知らせ、同時にヨーロッパの最も先進的な有機畜産牧場と日本の先進的な試みを紹介し、日本型の有機畜産および畜産動物の健康と福祉を重視する畜産の将来像を展望したいと考えました。

ファームアニマルウェルフェア・イニシアティブの発足

 その目的を実現するため2002年6月に研究会ファームアニマルウェルフェア・イニシアチブ(Japan Farm Animal Welfare Initiative )を結成しました。ファームアニマルウェルフェア・イニシアティブは現在組織化がすすめられているNGO国際ファームアニマルウェルフェア連合ICFAWと協力して畜産動物の健康と福祉についての国際的かつ学際的な研究とその研究成果の公開活動を行っていくことを主要事業としています。なお、ICFAWはOIE(国際獣疫事務局:BSEなど人獣共通感染問題を担当する国際機関で2001年から「家畜の健康と福祉」プロジェクトを開始している)が開催する会議におけるNGOオブザーバー資格を得ることになり、本研究会も参加する機会をもつことになります。

各分野の協力

 今回下記のように研究会の設立記念シンポジウムに動物保護運動の世界的NGO組織であるWSPA(世界動物保護協会)でファームアニマルウェルフェアを担当している専門家フィリップ・リンベリイさんとイギリスで最も先進的な有機畜産農場であるSheep Drove Organic Farmのマネージャー、チャールス・マクリーンさんをお招きし、また研究会の会員でもあり畜産草地研究所で家畜行動学の視点からファームアニマルウェルフェアについて長年研究されている佐藤衆介さんの出席によってパネルディスカッションを行います。

 つきましては農業者、消費者、環境保護・動物福祉に係わる市民、食品企業、流通企業、行政担当者、研究者、メディアなど多くの方々のご賛同とご協力をお願い申し上げます。

ファームアニマルウェルフェア・イニシアティブ
代表世話人 松木洋一
連絡先:日本獣医畜産大学・動物科学科・食料自然管理経済学教室
180-8602 東京都武蔵野市境南町1−7−1


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