※このレポートは、2006年1月24日の『日本農業新聞』の論説でも紹介された。
EUの調査「畜産動物の福祉に対する消費者の意見」
EU Study:"Attitude of Consumers Towards the Welfare of Farmed Animals"(2005.)
欧州委員会が実施した最近のユーロバロメーターの調査では、2万5000人近くの人々が欧州連合(EU)における畜産動物福祉についての回答を寄せた。
下記の結果は、畜産動物の保護に関してかなり肯定的な意見を示している。全体の総数のみならず、25のEU加盟国の比較を含む詳細な分析は、調査結果に重みを加えた。この調査の範囲は広く複雑であるため、下記に事項順の主な要約を述べる。この要約の最も興味深い結果に光をあてた、Mary Finelli に感謝する。なおこの要約の全文はオンラインで見ることができる。
◆動物福祉への傾向に影響する要因
人々が農場を訪れることにより動物福祉への認識と関心が高まることが明らかとなった。調査対象者の過半数が、少なくとも一度は動物を飼育している農場を訪れたことがあった。この割合は、スカンジナビアでは90%と最高の割合を示し、最低はポルトガルの29%、ギリシアの34%だった。
農場を訪れる頻度および動物福祉の向上による価格上昇を受け入れることには大きな相関性がある。動物福祉を理由とする製品価格の上乗せは25%までは容易に受け入れると回答した回答者の54%が、少なくとも3回は農場を訪れたことがあった。
◆種ごとの畜産動物の保護についての意見
・産卵鶏:平均して58%の回答者が産卵鶏の福祉が「やや悪い」「極めて悪い」と評価した。最も批判的なのがオランダ人とデンマーク人の77%で、ドイツ人とベルギー人の73%がそれに続く。他方、調査対象のマルタ人の3分の2以上が、産卵鶏の保護に肯定的な意見だった。
・乳牛:25加盟国のうち21カ国で、回答者の大多数が乳牛の福祉と保護に肯定的な意見だった。肯定的だったのは、フィンランド85%、オランダ83%、スウェーデン82%で最も高く、最低なのは、ギリシア42%、ラトビア43%、ポルトガル46%、スロバキア48%だった。
・豚:豚のための福祉と保護についての意見は様々だ。10の加盟国で、一般的に豚は適切に保護されていると考えられており、その楽観的な回答は、マルタ62%、フィンランド61%で最も多かった。一方、デンマークやスロバキアでは豚の福祉が進んでいないとする否定的な意見が60%を超えた。
◆優先的に保護される種
福祉の状態の向上で、どの種の動物が優先されるべきかという問いに、回答者の44%が第一に産卵鶏だと答えた。この数字は、スウェーデン79%、オランダ66%、ドイツ65%、ベルギー62%で、これらの国々では産卵鶏の福祉の向上が必要だという声が最も強かった。
豚については、回答者の28%が福祉の必要性があると答え、さらに保護が必要とされる動物として高い順位となった。デンマークでは60%の回答者が豚へのさらなる保護を最も強く主張している。
乳牛については17%で5位、子牛については14%で6位となっている。これは牛科の動物は比較的よい飼育状況にあると考えられているということで、この調査の初期に確認された。
◆購買行動と畜産動物の福祉
EU市民の過半数の52%が、肉を買う時に動物福祉を考慮しなかったと答えた。しかし、この問題では加盟国間に大きな格差がある。新たな加盟国では全体的に購買行動に動物福祉は影響しないと答えており、その数は、チェコ共和国74%、スロバキア73%、エストニア69%、ポーランド68%だったが、キプロスは例外的に38%だった。逆に、肉を買う時に動物福祉を考慮すると答えたのは、スウェーデン67%、ギリシア66%、ルクセンブルク64%だった。
卵に関しては、10人に4人が放し飼いや外で飼育した雌鶏の卵を買うと答えた。調査対象の消費者のうち、放し飼いで産卵した卵を買うことに最も強い傾向を表したのは、スウェーデン63%、ルクセンブルク61%、英国61%だった。最も低い傾向を表したのはスペインとスロバキアの12%だった。
回答者の4分の3以上は、自分たちの購買行動(すなわち動物福祉を考慮した製品を買うこと)で動物福祉の状況に影響を与えられると考えている。この意見はスウェーデン94%とキプロス90%で最も強いが、弱めなのはリトアニア56%、エストニア57%、ポルトガル62%だった。
しかし、回答者の51%が、動物福祉を考慮した方法で生産したものだと確認できたことがない、またはめったに確認できない、と答えた。新たな加盟国でこの数字が高く、スロバキア、チェコ共和国、ポーランドで80%を超えた。
1. [Parts of the EU summary have been omitted for space reasons. To read the full summary, please visit
http://europa.eu.int/rapid/pressReleasesAction.do?reference=MEMO/05/198.]
2. Full Report: "Consumer Attitudes to Animal Welfare," Eurobarometer Survey, 6/8/05 PDF File (680k):
http://europa.eu.int/comm/food/animal/welfare/euro_barometer25_en.pdf
※EUの現加盟国は25ヶ国。そのうち2004年の第5次拡大で新しい加盟国となった国は、キプロス、チェコ、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、マルタ、ポーランド、スロバキア、スロベニアの10ケ国。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/eu/map.html